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院長の臨床メモcolumn

2011.06.17

月1回の胸部エックス線の説明

当院では月1回透析後に胸部エックス線を撮影をします。

胸部エックス線で心胸比、胸水貯留、肺野のチェックなどを行います。
特に透析患者さんでは心胸比が重要でドライウェイトの評価には昔から欠かせません。

ただエックス線の評価はむずかしいですね。心胸比の測定自体は難しくないのですがやはりその測定値をどうやって評価していくか?
息止めしながら撮影するので多少誤差は出てきます。
また心臓を示している白い部分には心臓の腔だけではなく、心臓の筋肉や心臓の周りの水や心臓の周りの脂肪などが含まれており、単純に心胸比が大きい=ドライウェイトを下げましょう、心胸比が小さい=ドライウェイトを上げましょうではきちんとした管理とは言えないと思います。

エックス線だけで評価するのであればやはり顔と同じく、一人ひとり心臓の形も違うという認識をもたなければいけないと思っています。胸部写真を見て、3か月くらいをくらべて変化がないかどうかを調べ、変化があるようであれば必要に応じてドライウェイトを変更していくことが必要だと思います。

可能であれば心臓のエコーやCTで患者さんの心臓のチェックをすべきです。この患者さんは心臓の腔が大きいのか?、心臓の周りの水が多いのか?、心臓の周りの脂肪が多いのか?それを知る、知らないでは胸部エックス線のとらえ方は全く違ってきます。

僕は心胸比の数値とともに、どう変わっているかを重要視しています。加えて、肺の水のたまり具合や心胸比以外にも心臓の形自体が変わっていないかを見ています。

患者さんにとって重要なのは自分に最適な心胸比は何パーセントであるかということです。低いからいい、高いから悪いということではなく、自分の適性値を知る必要があると思います。