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院長の臨床メモcolumn

2011.10.25

元気で生き生きしてきた患者さん

糖尿病で透析されている患者さんがいます。

透析導入後、しばらくは安定していたのですが、尿量減少と透析での除水量が多くなっていき、次第に透析中の血圧が不安定になってきました。

除水量やドライウェイトを調整してもなかなか血圧低下がやまず、苦しい思いをされていました。

やむを得ず、メトリジンやドプスを使用し、何とか血圧を維持しました。

透析中に血圧が下がると、透析中だけではなく、透析後の生活もしんどくなり、動く気さえなくなります。

この患者さんは血圧低下が翌日まで続くことがあり、翌日もしんどい思いをされてきました。

透析翌日は本来は自由な時間であり、好きなこともできる時間です。

しかし、透析で血圧が下がってしんどいせいで、好きなこともできず、外に出ようという気持ちすらなれなかったのです。

透析がつらくて、いやなおもいをされていました。

しかしある時、別の方から運動を勧められました。

動かなかったら余計にしんどくなって、食べれなくなって、つらくなるということでしょう。

その患者さんはしんどさがあるにもかかわらず、自分のためと思って、無理に体を動かし、外に出て、好きなスポーツをしました。

それを繰り返していくうちに、どんどん外に出て、スポーツをすることに楽しみを覚えて、今では血圧低下もなく本当に生き生きされています。

本当にうれしかったです。

「透析患者ということを忘れて暴れています」と言われました。

透析されている方は常に「透析」というふた文字があるのかもしれないなあと思いました。

その時に、以前読んだ「透析患者さんと家族が元気になる本」の内容を思い出しました。

患者さんが書かれている本ですが、その中に

{自分は透析患者と思わないで、たまたま透析をしている透析者と思うようにしている。病人と思うことが、自分にとってプラスに働かない」

と書かれていました。

透析を忘れるくらい何かを見つけて楽しんでいる患者さんを見るとついつい嬉しくなってしまいます。

そのような状態を維持できるよう協力してやっていきたいと思います。