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院長の臨床メモcolumn

2011.11.07

ビタミンE固定型透析膜(VPS)とLDL吸着の併用

足の血流が悪い病気に下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)があります。

ASOは歩行距離の短縮、足の痛み、足の潰瘍、足の壊疽などを起していく怖い病気です。

糖尿病や透析の方に起こる可能性があり、私も注意している疾患の一つです。

このASOの治療として以前にもお話ししたビタミンE固定型透析膜を使用している文献がありました。

ASOの治療方法にはLDLアフェレーシスという血流を良くして、血液をサラサラにし、さらに血管を広げてくれるという治療法があります。

このビタミンEとLDLアフェレーシスを併用する効果がアップするのか?

予想通り良好な結果が出ました。

LDLアフェレーシスだけでも効果があるうえに、さらにビタミンE透析膜を使用しているのですから。

それではビタミンE透析膜ではなく、通常の透析膜だったら?

ある程度効果はありましたが、やはりビタミンE透析膜との併用効果は良いようです。

LDLアフェレーシスは簡単にやる治療法ではありませんのでポンポンやっているところは少ないでしょう。

ただ、ASOをもっていらっしゃる患者さんは多いと思います。

LDLアフェレーシスをやるほどでもない、あるいはやっていない患者さんに対してもビタミンE固定型透析膜は選択肢として当然入れていかなければならないものと考えます。

正直言ってビタミンE固定型透析膜はまだ他の透析膜と比べて高いです。

経営的メリットとして何を求めていくか?

ビタミンE透析膜は理論上も、文献上もいい結果を出しています。

しかしまだ生命予後をよくするという結果は出ていません。

ただ患者さんにとってはいい透析膜だとは思います。

ビタミンE透析膜がいいと思った場合、

目先のコストを選択するか、患者さんの予後を選択するか?

答えは簡単ですが、正論ではいかないこともたくさんあると思います。

当院では現在のところASOの治療歴がある方は積極的に使用しています。