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院長の臨床メモcolumn

2012.01.19

透析患者さんに対するカルニチンの効果

これまで数回、エルカルチンについて書きました。

これまで透析患者さんに対してエルカルチンの有効性について書かれたものがありますので整理したいと思います。

①貧血の改善

②エリスロポエチン(エポジンなど)の使用量の減少(貧血がよくなったという解釈でいいと思います。)

③こむら返りの軽減(回数など)

④心臓の収縮率の上昇

⑤少量のエルカルチンでも心臓の機能が上昇すること

⑥心臓肥大を改善させること

⑦運動能力の向上

万能の薬ではなく、この中には改善しない症例もあり、個人差はあることは付け加えておきます。

しかし、これだけの効果があるのです。

貧血、心機能低下、筋痙攣があれば試みてみてもいいのではないでしょうか?

カルニチンは透析導入後3年間かけて大きく身体の中から減っていきます。

3年後からは低め安定で経過するようです。

ですから最低でも減ってくる透析導入後3年には投与してもいいということもなります。

投与量はこれまでのデータから多ければ多いほど体内のカルニチン濃度は上昇するようです。

しかし貧血改善などのデータからすると体重1kg当たり10mg毎日内服でも十分効果があるようです。

ですから50kgの方は500mg(300mg錠なら約2錠)となります。

当院では1800mgを投与しておりますが、効果は実感しております。

しかし時に便秘、下痢などの便通異常が起こります。

新薬に敏感な方や糖尿病性胃腸症などの胃腸のバランスが起きやすい方は少量から開始してもいいと最近では思っています。