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院長の臨床メモcolumn

2012.07.21

なかなか改善しないスティール症候群の痛み

透析されている方にスティール症候群による痛みで困っている方がいます。

スティール症候群はシャント作成後にシャント側の血流が取られて、シャント吻合部移行の腕や指の血流が不足するものです。

不足すると酸欠になり痛みやしびれが生じます。

今困っている方はもともと動脈硬化が強い方で動脈の弾力性に欠ける方です。

そのような方はスティール症候群になりやすく、痛みに難渋します。

透析中にも血圧が下がりやすく、さらに痛みが悪化します。

教科書的には

①薬物療法(プレタールやリプルなど)

②シャントバンディング(シャントの血管をやや縛って血流を落とすこと)

③シャント閉鎖術

です。

③は最終手段として、②に関してはシャント狭窄こそありますが、バンディングするほどのシャントではなくおそろしくてできません。

なんとか①薬物療法でしのぎたいと考えています。

しかし効果はありません。

痛みそのものに対してはロキソニン、ボルタレンSRなどのいわゆるNSAIDs。

ほとんど効果なし、

痛み神経路を抑制させるリリカやノイロトロピンも効果乏

次には漢方。

血流不足ということでツムラ38で血流アップを狙ったところ少しだけまし?

さらに手をあっためる目的でツムラ附子を併用したところほんの少しまし?

痛みスコアで言うと10⇒⇒⇒7になった程度。

多分血圧が下がった時に言うと10⇒⇒⇒10でほとんど変わっていないでしょう。

今、附子を増やしたり、ツムラ38を五苓散に変えたりと考えています。

虚血に伴う痛みなのでドラマドールやノスルパンテープは効かない可能性が高い。

附子を増やすのも限度があるし、本当に悩ましいです。