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院長の臨床メモcolumn

2012.08.14

糖尿病性腎症の方へのビクトーザ

最近、糖尿病医療ではインクレチンというホルモン製剤が注目されています。

このブログでも何度か紹介をさせてもらっています。

今回はそのうちの一つである「GLP-1」。

GLP-1はインクレチンホルモンの一つです。

このホルモンは食事摂取によってインスリンが分泌する働きがあるので糖尿病の治療として使用されるようになりました。

このGLP-1製剤の商品名が「ビクトーザ」です。

僕は腎臓の専門なのでどうしても腎障害がある方への投与は可能かどうかが気になります。

製薬会社の方に聞くと最近は腎障害の方も増えているので糖尿病の先生方が投与されており、近々透析患者さんも含めて講演会があるといわれました。

今回読んだ報告では、透析患者さんではなくて、慢性腎臓病ステージ3-4(5は透析に近い状態)の論文。

この論文は血糖コントロールが悪い患者さんに使用していました。

クレアチニンは平均2mg/dl台で、推定GFRは39でした。

HbA1cは7.82%でした。

このような腎障害をお持ちの方に効果があり、さらに副作用が出ないかを確認するのは本当に大切なことです。

HbA1cは7.82%⇒⇒⇒2ヶ月後に7.19%まで低下しておりました。

血糖コントロールの良くない方への投与ですので結果としては良好でした。

さらに副作用は少なく、気になる体重増加もなかったようです。

腎障害の進行も見られませんでした。

「ビクトーザ」は1日1回の注射剤で24時間安定して効果を発揮するといわれています。

今回の論文では安全性と有効性が確認されました。

腎障害を持っている糖尿病の方はたくさんいます。

経口血糖降下薬を使いづらいことは多々あり、このような報告は非常に有り難いと思っています。