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院長の臨床メモcolumn

2012.10.09

透析患者さんの赤血球寿命って?

透析患者さんのほとんどに貧血を認めます。

それは赤血球の寿命が短縮し、赤血球を産生する能力が低下してくるからです。

慢性腎臓病のステージがありますが、ステージ3⇒⇒⇒4⇒⇒⇒5と腎臓病のステージが進行するに従って赤血球寿命が短縮してきます。

赤血球寿命が短縮すると貧血になるのでエポジン、エスポー、ミルセラなどの造血剤(以後ESA)が必要になります。

そのESA製剤を開始すると貧血は改善します。

貧血は改善しますが、赤血球の寿命までは改善しません。

つまり、造血剤であるESA製剤は短縮してる赤血球寿命に見合うだけの赤血球を作ってくれているということになります。

ESA製剤では赤血球造血量が増え、赤血球数やヘモグロビンは増えても赤血球寿命までは延長してくれません。

赤血球寿命が短い方⇒⇒⇒ESA製剤が多く必要

赤血球寿命が長い方⇒⇒⇒ESA製剤が少ない

という傾向があります。

赤血球寿命を延長させるには

・透析時間の延長

・透析回数の延長

・適切な透析膜の選択

・カルニチンや亜鉛の補充

・透析液がきれいであること

などを考えていくと、造血剤であるESA製剤が少なく、患者さん本人が持っている赤血球寿命を引き出す(延長させる)鍵になってくると思います。

それはきっと貧血だけではなく体の細胞自体の寿命延長を意味していると思います。