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院長の臨床メモcolumn

2015.01.14

サムスカへの期待と注意点

昨日、多発性嚢胞腎に対する治療薬としてサムスカが承認されたというお話をしました。

サムスカのメリットとしては唯一の腎嚢胞に対する薬であり、嚢胞が大きくなるのを抑制します。

内服していない群では年間5.51%嚢胞が大きくなるのに対して、サムスカ内服群では2.8%と2.71%の進行を抑制することができました。

また重要な腎機能への効果ですが、内服したいない群に対してサムスカ群では3年間で腎機能悪化を30%減少させました。

嚢胞腎で問題となる血尿、腰痛、尿路検査の発症頻度もサムスカ内服群で減少しています。

問題点は
①水分が大量に尿路して排泄するので、大量の水分が必要であるということ。

場合によっては5L位尿が出るので、それ相応の水分摂取が必要であること。

データとしては高ナトリウム血症になりえます。

②肝障害の出現。

③高価な薬剤→これに関しては難病指定であり、昨日述べたように難病医療費助成制度が受けれます。

④内服初期に入院が必要(2泊3日):水分摂取などの教育入院目的

⑤慢性腎臓病ステージ2よりいい方(GFR60以上)の方しか使えない。

これはなかなか厳しい条件だと思います。

実際よく使用されている施設はどうなのかが気になります。

安全性を考えるとステージ2までですが、現実的にはステージ3の方も結構いらっしゃると思います。

将来的にステージ3に効果が認めらえるのであれば認可されたらいいですね。

サムスカは嚢胞腎の進行を遅れさせる唯一の薬剤ですが、決して、嚢胞が消えるとか、腎臓がよくなるとかいうお薬ではなく、あくまで腎機能の悪化を抑制させるためのお薬ですので誤解のないようにしてください。