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院長の臨床メモcolumn

2018.12.07

インシデントレポートを通して感じること

医療機関に限りませんが、人が働いている以上、何らかのエラーやミスがあります。

その時に、再発予防を講じるために、医療機関ではインシデントレポートを記載します。

インシデントレポートというとすごく否定的で、反省文的な要素に感じる方もいるかもしれません。

「これはインシデントではない。」と拒否する人もひょっとしたらいるかもしれません。

プライドを傷つけられる人もいるかもしません。

でも、それって正しいでしょうか?

人間は感情があるのでミスをした時には、「迷惑をかけた、悔しい、情けない、腹が立つ、恥ずかしい」などいろんな思いが噴出するかもしれません。

人間性が出てしまうときもあります。

しかし、個人的な感情を理由にインシデントレポートを拒否するというのはとんでもないことなのです。

インシデントレポートはあくまで重大な事故を未然に防ぐためのものなので、当院では些細なミス、エラーでも書くことが当然となっています。

ですので、そこには恥ずかしさはありません。 レポートには他人でもわかるように状況をきちんと記載し、自分で考え得る要因を書いていきます。

対策を立てる必要もあるでしょう。

個人的な対策、組織としての対策など。

私も個人としてミスすることはあり、レポートを記載しますが、自分なりにルーティンを増やすとか、工夫するとか試行錯誤しています。

組織としては医療安全委員会が対策を講じ、みんなで実行していく。

エラーがあれば、また対策を講じ、実行する。

インシデントレポートで大切なことは

・反省を強要しないこと(自省は必要)

・ものを見て、人を見ない(つまり、人を見て判断せずに事象で判断する)

この人はミスを繰り返しているからもっと書かなあかん。

この文章上では反省が感じられない。

また、院長だから書かなくていいというものではありません。

インシデントレポートは感情的なものではなく、冷静に状況を振り返り、要因を考え、対策を講じる。

これが大切なのです。

指摘するのであれば、「レポートを他人が見て理解できない場合」です。

あとは、アドバイスでしょうか。

色んなインシデントがありますが、インシデントに対して話し合いを講じ、それを実行した時は、また新たなチームワークができると実感しています。

インシデントというネガティブな要素を成長に変える瞬間、信頼関係の向上を垣間見ることがあります。

組織は互いに考えることでチームワークが生まれます。

そこに個人的な攻撃や愚痴は全く不要で、負の要素となるでしょう。